くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話

過去に書いたnoteからの転載です。


自分の書いた本が出版されることになった。
6/29に発売される。

くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話

くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話

コンクリートで土を隠し、空を覆って川を埋め、森や動物に囲まれたふつうの暮らしを捨てた。
山を削って、海を汚して、一生懸命働いて、俺たちが得たのは大型スーパーと無数のコンビニで埋め尽くされた灰色の四角い街だった。

このままいけば、くそつまらない街が日本中を覆ってしまう。

自然は有料のレジャー施設に閉じ込められて、文化は博物館に飾られて、大好きな個人店はチェーンの居酒屋に変わっちまう。すでにコンビニの光は星空よりもずっと眩しい。
自家用車と火力発電がこのまま流行り続ければ地下資源はいつかなくなるし、最近の夏は子どもの頃よりずっと暑い。
植物たちは少しずつ高いところや北のほうに移動して適応しようとしているけど、湖の魚はどこにも逃げる場所がない。俺だっていつまで沖縄に住んでいられるかは、わからない。

政府のやることは本当にひどいもんで、この先もなんにも期待できる気がしない。

誰が悪いかなんてどうでも良いけど、俺たちみんなが家も店も物も売れやすいものばかりを手に取って、条件のマシな会社を探して就職して、そうやって無意識に過ごしているうちに取り返しのつかないことになったんだって思っている。

自分たちでやれること

こんな世界でも、できることがまだまだある。それは再開発反対運動や環境保護活動だけじゃなくて、もっと誰もが毎日できること。

資本主義っていうルールが適用された世界で当面やっていかなければいけない以上、今からできる自分なりのアクションを考えていかないと未来はくそつまらないものになる。
そこで俺は、自分のエネルギーを良い方向から良い方向に流し続けることを始めた。

たとえば、好きな街に引っ越して好きな店で買い物することや、好きな人たちと働いて生活すること。
自分のエネルギーを好きなところに流すように意識したら、くそみたいな銀行にお金を預けているのがバカバカしくなった。

定期預金を組むくらいのお金があるなら、ちょっとでも好きな会社の株にしておいて、ほんの少しでも自分好みの未来を作る助けになることを期待する。俺は少しのお金とそれなりの知識と強い心を持って、投資家として活動することにした。

投資の目的と、パンク

投資家として活動する中で、大事にしていることが2つある。

ひとつは、好きな会社の株を買って、少しでもくそつまらない未来を変えるちからになること。

もうひとつは、世界中に資産を分散して、たとえ日本経済が破綻しても簡単にはぶっ飛ばされない丈夫な生活を作ること。

俺はパンクバンドをやりながら東高円寺二万電圧っていうライブハウスで働いていた時期があって、20代前半のほとんどはパンクに費やしたと思っている。
そのせいで、30代のいまもパンクに背いた行動ができない。

自分にとってのパンクっていうのは「自分でやること」や「誰でもできること」が重要で、むかしどれだけ不良だったかとか、酒に強いかどうかなんてことは、全然重要じゃない。

それよりも、自立した暮らしを送っていることが重要だ。政治家のひとや未来のひとたちに頼り切って生きていきたくない。
そのためにできることをいつも考えている。

うまくもまずくもないチェーンの居酒屋で打ち上げして、帰り道でなんとなく寄ったコンビニでよくわからない新商品買って、そうやってできたのがいまの街だとすると、こんなことを続けていたらいつまで経っても何も変わらないということになる。
お金は、使い方次第で街や未来を変えるちからになるはずだ。

お金の投票

突然だけど、今朝は沖縄県議選の投票に行ってきた。
自分の考えに近いひとや、近所の友達の悩みを解決してくれそうなひとを調べ、ひとり選んで投票した。

買い物や投資も、選挙みたいだって思うことがある。
俺たちが毎日使うお金には選挙の一票みたいなちからがあって、選ばれたお店や商品が未来に残っていく。
同じように、銀行に預けていたら銀行が増える助けになるだろうし、好きな会社の株にしたら、その会社の推進力になるだろう。

俺の持っているお金はわずかなものだけど、全くゼロってわけじゃない。このお金だって、使い方によっては誰かの助けになるもので、流れる先をお金持ちや大企業に全部まかせていたらお金持ち好みの世の中になっちまう。
1円あたりの力は弱くても、確実に影響力を持った物だ。
そういうところも、選挙に似てる。

将来の不安に煽られて必要以上に独占したり、広告に流されて浪費したりするのはやめて、使うときは優しく、貯めるときも丁寧に、使い方も持ち方も全部自分で選ぶことにしている。

消費の仕方もお金の持ち方も、すべてに意志が乗るよう大切に扱っていて、自分の生き方を説明する上では、投資の話が欠かせないものになった。

この本について

この本『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』では、資本主義のルールをどう捉えていったら良いか、資本主義のどこが問題で、どうしたら良くなるのか、目指したい未来から考え直して、具体的にどんな会社の株を買って、どんなアクションを取っていくのかということを、なるべくわかりやすいように書いた。

真新しいことはきっと書いてないし、考えるきっかけになるなら正しいかどうかすらどうでも良いって思って勢いよく書き進めたけど、届けたいひとに届くようにだけは注意して作った。

自分にとっては、考えを文字や言葉にして発信すること自体もひとつのアクションだ。
タイトルの長いこの本が、俺自身や読んでくれた人たちの「くそつまらない未来」を変えるためのちからになってくれることを望む。